バージョンスキューポリシー

さまざまなKubernetesコンポーネント間でサポートされる最大のバージョンスキュー。

このドキュメントでは、さまざまなKubernetesコンポーネント間でサポートされる最大のバージョンの差異(バージョンスキュー)について説明します。特定のクラスターデプロイツールは、バージョンの差異に追加の制限を加える場合があります。

サポートされるバージョン

Kubernetesのバージョンはx.y.zの形式で表現され、xはメジャーバージョン、yはマイナーバージョン、zはパッチバージョンを指します。これはセマンティック バージョニングに従っています。詳細は、Kubernetesのリリースバージョニングを参照してください。

Kubernetesプロジェクトでは、最新の3つのマイナーリリースについてリリースブランチを管理しています (1.30, 1.29, 1.28)。

セキュリティフィックスを含む適用可能な修正は、重大度や実行可能性によってはこれら3つのリリースブランチにバックポートされることもあります。パッチリリースは、これらのブランチから 定期的に 切り出され、必要に応じて追加の緊急リリースも行われます。

リリースマネージャーグループがこれを決定しています。

詳細は、Kubernetesパッチリリースページを参照してください。

サポートされるバージョンの差異

kube-apiserver

高可用性 (HA) クラスターでは、最新および最古のkube-apiserverインスタンスがそれぞれ1つのマイナーバージョン内でなければなりません。

例:

  • 最新のkube-apiserver1.30であるとします
  • ほかのkube-apiserverインスタンスは1.30および1.29がサポートされます

kubelet

kubeletkube-apiserverより新しいものであってはならず、2つの古いマイナーバージョンまで有効です。

例:

  • kube-apiserver1.30であるとします
  • kubelet1.301.29および1.28がサポートされます

例:

  • kube-apiserverインスタンスが1.30および1.12であるとします
  • kubelet1.29および1.28がサポートされます(1.30はバージョン1.29kube-apiserverよりも新しくなるためサポートされません)

kube-controller-manager、kube-scheduler、およびcloud-controller-manager

kube-controller-managerkube-schedulerおよびcloud-controller-managerは、通信するkube-apiserverインスタンスよりも新しいバージョンであってはなりません。kube-apiserverのマイナーバージョンと一致することが期待されますが、1つ古いマイナーバージョンでも可能です(ライブアップグレードを可能にするため)。

例:

  • kube-apiserver1.30であるとします
  • kube-controller-managerkube-schedulerおよびcloud-controller-manager1.30および1.29がサポートされます

例:

  • kube-apiserverインスタンスが1.30および1.29であるとします
  • いずれかのkube-apiserverインスタンスへ配信するロードバランサーと通信するkube-controller-managerkube-schedulerおよびcloud-controller-manager1.29がサポートされます(1.30はバージョン1.29kube-apiserverよりも新しくなるためサポートされません)

kubectl

kubectlkube-apiserverの1つ以内のバージョン(古い、または新しいもの)をサポートします。

例:

  • kube-apiserver1.30であるとします
  • kubectl1.311.30および1.29がサポートされます

例:

  • kube-apiserverインスタンスが1.30および1.29であるとします
  • kubectl1.30および1.29がサポートされます(ほかのバージョンでは、あるkube-apiserverコンポーネントからマイナーバージョンが2つ以上離れる可能性があります)

サポートされるコンポーネントのアップグレード順序

コンポーネント間でサポートされるバージョンの差異は、コンポーネントをアップグレードする順序に影響されます。このセクションでは、既存のクラスターをバージョン1.29から1.30 へ移行するために、コンポーネントをアップグレードする順序を説明します。

kube-apiserver

前提条件:

  • シングルインスタンスのクラスターにおいて、既存のkube-apiserverインスタンスは1.29とします
  • HAクラスターにおいて、既存のkube-apiserver1.29または1.30 とします(最新と最古の間で、最大で1つのマイナーバージョンの差異となります)
  • サーバーと通信するkube-controller-managerkube-schedulerおよびcloud-controller-managerはバージョン1.29とします(必ず既存のAPIサーバーのバージョンよりも新しいものでなく、かつ新しいAPIサーバーのバージョンの1つ以内のマイナーバージョンとなります)
  • すべてのノードのkubeletインスタンスはバージョン1.29または1.28 とします(必ず既存のAPIサーバーよりも新しいバージョンでなく、かつ新しいAPIサーバーのバージョンの2つ以内のマイナーバージョンとなります)
  • 登録されたAdmission webhookは、新しいkube-apiserverインスタンスが送信するこれらのデータを扱うことができます:
    • ValidatingWebhookConfigurationおよびMutatingWebhookConfigurationオブジェクトは、1.30 で追加されたRESTリソースの新しいバージョンを含んで更新されます(または、v1.15から利用可能なmatchPolicy: Equivalentオプションを使用してください)
    • Webhookは送信されたRESTリソースの新しいバージョン、および1.30 のバージョンで追加された新しいフィールドを扱うことができます

kube-apiserver1.30 にアップグレードしてください。

kube-controller-manager、kube-scheduler、およびcloud-controller-manager

前提条件:

  • これらのコンポーネントと通信するkube-apiserverインスタンスが1.30 であること(これらのコントロールプレーンコンポーネントが、クラスター内のkube-apiserverインスタンスと通信できるHAクラスターでは、これらのコンポーネントをアップグレードする前にすべてのkube-apiserverインスタンスをアップグレードしなければなりません)

kube-controller-managerkube-schedulerおよびcloud-controller-manager1.30 にアップグレードしてください。

kubelet

前提条件:

  • kubeletと通信するkube-apiserver1.30 であること

必要に応じて、kubeletインスタンスを1.30 にアップグレードしてください(1.291.28 のままにすることもできます)。

kube-proxy

  • kube-proxyのマイナーバージョンはノード上のkubeletと同じマイナーバージョンでなければなりません
  • kube-proxykube-apiserverよりも新しいものであってはなりません
  • kube-proxyのマイナーバージョンはkube-apiserverのマイナーバージョンよりも2つ以上古いものでなければなりません

例:

kube-proxyのバージョンが1.28の場合:

  • kubeletのバージョンは1.28でなければなりません
  • kube-apiserverのバージョンは1.281.30の間でなければなりません