Podとそのエンドポイントの終了動作を探る

アプリケーションをServiceに接続するで概略を示したステップに従ってアプリケーションをServiceに接続すると、ネットワーク上で公開され、継続的に実行されて、複製されたアプリケーションが得られます。 このチュートリアルでは、Podを終了する流れを見て、gracefulな(猶予のある)接続ドレインを実装する手法を模索するための手助けをします。

Podの終了手続きとそのエンドポイント

アップグレードやスケールダウンのために、Podを終了しなければならない場面はままあります。 アプリケーションの可用性を高めるために、適切なアクティブ接続ドレインを実装することは重要でしょう。

このチュートリアルでは概念のデモンストレーションのために、シンプルなnginx Webサーバーを例として、対応するエンドポイントの状態に関連したPodの終了および削除の流れを説明します。

エンドポイント終了の流れの例

以下は、Podの終了ドキュメントに記載されている流れの例です。

1つのnginxレプリカを含むDeployment(純粋にデモンストレーション目的です)とServiceがあるとします:

apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: nginx-deployment
  labels:
    app: nginx
spec:
  replicas: 1
  selector:
    matchLabels:
      app: nginx
  template:
    metadata:
      labels:
        app: nginx
    spec:
      terminationGracePeriodSeconds: 120 # 非常に長い猶予期間
      containers:
      - name: nginx
        image: nginx:latest
        ports:
        - containerPort: 80
        lifecycle:
          preStop:
            exec:
              # 実際の活動終了はterminationGracePeriodSecondsまでかかる可能性がある。
              # この例においては、少なくともterminationGracePeriodSecondsの間は待機し、
              # 120秒経過すると、コンテナは強制的に終了される。
              # この間ずっとnginxはリクエストを処理し続けていることに注意。
              command: [
                "/bin/sh", "-c", "sleep 180"
              ]
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: nginx-deployment
  labels:
    app: nginx
spec:
  replicas: 1
  selector:
    matchLabels:
      app: nginx
  template:
    metadata:
      labels:
        app: nginx
    spec:
      terminationGracePeriodSeconds: 120 # 非常に長い猶予期間
      containers:
      - name: nginx
        image: nginx:latest
        ports:
        - containerPort: 80
        lifecycle:
          preStop:
            exec:
              # 実際の活動終了はterminationGracePeriodSecondsまでかかる可能性がある。
              # この例においては、少なくともterminationGracePeriodSecondsの間は待機し、
              # 120秒経過すると、コンテナは強制終了される。
              # この間ずっとnginxはリクエストを処理し続けていることに注意。
              command: [
                "/bin/sh", "-c", "sleep 180"
              ]

---

apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  name: nginx-service
spec:
  selector:
    app: nginx
  ports:
    - protocol: TCP
      port: 80
      targetPort: 80

PodとServiceが実行中になったら、関連付けられたEndpointSliceの名前を得られます:

kubectl get endpointslice

この出力は以下のようなものになります:

NAME                  ADDRESSTYPE   PORTS   ENDPOINTS                 AGE
nginx-service-6tjbr   IPv4          80      10.12.1.199,10.12.1.201   22m

状態からわかるように、1つのエンドポイントが登録されていることが確認できます:

kubectl get endpointslices -o json -l kubernetes.io/service-name=nginx-service

この出力は以下のようなものになります:

{
    "addressType": "IPv4",
    "apiVersion": "discovery.k8s.io/v1",
    "endpoints": [
        {
            "addresses": [
                "10.12.1.201"
            ],
            "conditions": {
                "ready": true,
                "serving": true,
                "terminating": false

では、Podを終了し、そのPodがgracefulな終了期間設定を守って終了されていることを確認してみましょう:

kubectl delete pod nginx-deployment-7768647bf9-b4b9s

全Podについて調べます:

kubectl get pods

この出力は以下のようなものになります:

NAME                                READY   STATUS        RESTARTS      AGE
nginx-deployment-7768647bf9-b4b9s   1/1     Terminating   0             4m1s
nginx-deployment-7768647bf9-rkxlw   1/1     Running       0             8s

新しいPodがスケジュールされたことを見てとれます。

新しいPodのために新しいエンドポイントが作成される間、古いエンドポイントは終了中の状態のまま残っています:

kubectl get endpointslice -o json nginx-service-6tjbr

この出力は以下のようなものになります:

{
    "addressType": "IPv4",
    "apiVersion": "discovery.k8s.io/v1",
    "endpoints": [
        {
            "addresses": [
                "10.12.1.201"
            ],
            "conditions": {
                "ready": false,
                "serving": true,
                "terminating": true
            },
            "nodeName": "gke-main-default-pool-dca1511c-d17b",
            "targetRef": {
                "kind": "Pod",
                "name": "nginx-deployment-7768647bf9-b4b9s",
                "namespace": "default",
                "uid": "66fa831c-7eb2-407f-bd2c-f96dfe841478"
            },
            "zone": "us-central1-c"
        },
        {
            "addresses": [
                "10.12.1.202"
            ],
            "conditions": {
                "ready": true,
                "serving": true,
                "terminating": false
            },
            "nodeName": "gke-main-default-pool-dca1511c-d17b",
            "targetRef": {
                "kind": "Pod",
                "name": "nginx-deployment-7768647bf9-rkxlw",
                "namespace": "default",
                "uid": "722b1cbe-dcd7-4ed4-8928-4a4d0e2bbe35"
            },
            "zone": "us-central1-c"

これを使うと、終了中のアプリケーションがその状態について、接続ドレイン機能の実装目的でクライアント(ロードバランサーなど)と通信する、ということが可能です。 これらのクライアントではエンドポイントの終了を検出し、そのための特別なロジックを実装できます。

Kubernetesでは、終了中のエンドポイントのready状態は全てfalseにセットされます。 これは後方互換性のために必要な措置で、既存のロードバランサーは通常のトラフィックにはそれを使用しません。 Podの終了時にトラフィックのドレインが必要な場合、実際に準備できているかはserving状態として調べられます。

Podが削除される時には、古いエンドポイントも削除されます。

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